目を開くと、そこは漆黒の闇の世界だった
数回瞬いてから 頭上にポツポツとまぶした砂糖のような星が浮かんでいるのに気付く
そして、今が夜なのだと思い出した

けれどおかしい
自分は確かに、いつものように眠りに着いた筈だ
なのに何故 見知らぬ世界で立ち尽くしているのか

「やあ、君もこの夢に招かれたんだね」

左の方から いたくのんびりとした声が聞こえてきた
驚いてそちらを振り向くと
金の髪の見慣れぬ少年がにっこりと微笑んでいる
夜闇の中にあって、それでもお互いの姿はハッキリと見える
少年は少しばかり風変わりな格好をしていた

「さあ、折角だから一緒に行きましょ!」

今度は右側から溌剌とした声がかけられた
緑の澄んだ瞳を持つ 小柄な少女だった
少女の隣には、不思議な生き物のようなものが浮かんでいるが
何なのかはよくわからない

促されるままに足を踏み出すと 眼前にするすると道が伸びていった
道が伸びていくその先
暖かなオレンジ色の光がいくつも灯っているのが見える

「南瓜の灯りだよ」

少年が言う

「ふふ、良い匂いがすると思わない?」

少女が囁くように笑う
確かに、道の先からふわりと甘い香りが漂ってくる

不思議な少年と少女の間に挟まれたまま
共に歩いて行くと小さな門に行く手を阻まれた

少年が片手でノックするように、軽く門扉を叩く

「ここから先はね、招待状がないと通れないんだ。だから今日の夢はここまで」
「でもね、あなたの所にもきっと直ぐに届くわ」

訳知り顔で二人が言う

「次に会うときはこの門の向こう側。あの灯りの元だよ」
「もっとゆっくり、沢山、お喋りしましょう」

少年がウィンクをした
「他にも楽しい人達が大勢来るんだ」
「美味しいお菓子も食べきれない程あるの」

二人にそれぞれ、左右の手を握られた
ぬくもりが伝わってきて、夢なのに不思議なものだと思う

「ねぇ、きっと来てね!また会えるのを楽しみに待っているから」
「それじゃあ、次は・・・」



「「ハロウィンパーティで会おうね!」」

出会えたから 友達になりたい