『 君に笑っていて欲しい
ずっと君の傍に居たい
ねぇ
君が 好きだよ 』
月の光と森の詩
昔、とある森の奥に
一人の少女が暮らしておりました

少女は早くに家族を亡くしていましたが
森の動物達が傍に居たので
それ程寂しくはありませんでした
中でも少女が愛していたのは
小さなウサギです

そしてウサギも、少女を愛していました
少女はいつも明るく優しくて
同じようにひとりぼっちだったウサギの心を癒してくれるのです

少女が笑うと ウサギは嬉しくなります
ウサギは少女のように 声を出して笑うことはできませんでしたが
一生懸命彼女の周りを跳ね回って 喜びを表現するのでした
だけど時折
夜がやってきて月が優しく森を照らす頃
少女はひとり 家の中で
家族を想って 静かに涙を零しました

ウサギは少女の悲しい声が聞こえると
そっと窓辺の草木の陰に忍び寄り
静かに少女を見守りました

金の光を浴びて、宝石のように輝く少女の涙
きらきら きらきら
きらきら きらきら

それはとても美しいのに

だけどあわれなウサギ
喜ばせてあげたくても
彼は人のように笑うことはできません
励ましてあげたくても
彼は小鳥たちのように歌うこともできません
毛皮で暖めてあげたくても
彼はちっぽけすぎるのです

きらきら きらきら
きらきら きらきら
月の光のような少女の涙は
ウサギの目の前ですっと溶けてゆきました
[続く]