01:The Ground Floor + 価 +

価値がないと生きていては駄目だとは 誰が言い出したものだろう

道端の石に価値がないなんて、勝手に人間が判断しただけだ
だから価値がないと言われても 石はそこにある
その石がなくなればこの世はどうにかなるだろうか

なるかもしれない
ならないかもしれない
だけど石はそこにある




この世は価値がなくても存在していける


だから 君たちは生きている




「神宮、お前まだ生きてたのかよー」
ゼーんだよ。早くねって」
「うわっキッタネぇ! さわっちまったし。病原菌がうるだろーがっ」

近寄んなよ」
「早く死ねよ」

「みんなー、席につけー」
「センセー、神宮君はにつけませーん」
「なんだ、た神宮か。お前、机はどこにやった」

「何かったらどうなんだ」

「おい、神宮!」





あぁ、

ノイズがわずらわしい





君たちは知らない

君たちが僕に価値がないと言う
しかし君たちは僕の存在に構う
それは君たちの中では本当は僕に価値があるということ
君たちは僕を必要としている

自分に価値を与える為に
価値がないと思うものより自分が価値があると慰めることで

君たちは知らない

僕の中で 君たちに価値はない
だから、僕は君たちを見ない、話さない、聞こえない

僕にとっては 君たちにこそ価値がない

君たちは価値のないものは なくなればいいという
ならば 本当に消えるべきなのは君たちだ




君たちなんだ




この世には 価値のないものが存在できる

この世は そんなもので埋め尽くされている





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